・お客様と楽しくお話は出来るのに購入せずに帰られることが多い
・商品を紹介してもリアクションがいまいちなことが多い
・お客様とお話している時に何を提案したらいいか悩んでしまう
接客を始めたばかりやある程度お客様とお話しできるようになった際に特に感じるのが、
話は盛り上がるのに購入していただけないという悩みではないでしょうか?
逆に先輩スタッフや他のスタッフを見ていて、そこまで盛り上がったり長く接客をしていないのにスムーズに商品を購入されていて、疑問に思ったことはありませんか?
その悩みはニーズチェックをしっかりと行えば改善できます。
実は購入への流れが上手なスタッフは否応なしにこの「ニーズチェック」が上手なのです。
ニーズチェックをしっかりと行うことで、
お客様が求めている適切な声掛けやご紹介を行える可能性が高まり満足度が上がります。
結果として購入に繋がり、リピーターとになっていただける可能性も高くなります。
接客を始めた方は特に「ニーズチェックって何?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
今回はニーズチェックについてしっかりと説明していきます!
STEP.1動的待機とSTEP.2ファーストアプローチもぜひご確認ください。
- ニーズチェックの基礎知識
- 失敗しないニーズチェックのポイント
- ニーズチェックで行ってはいけない事
本記事の作者

10年以上接客業で働き、アパレル、美容関係、洋菓子、医薬品など様々なアイテムを扱ってきた経験があります。
販売キャンペーンで表彰を受けるほどの実力を身に着けてきた知識を活かし初心者に向けての接客のコツやポイントをお伝えします。
ニーズチェックとは
ニーズチェックとはお客様のご要望や好みなど求めていることを確認する事です。
接客中に雑談や質問を上手に使いお客様の求めているニーズ(望み)をさりげなく聞き出すことです。
ニーズチェックはアプローチの最中に行うテクニックとして定義しお話します。
ヒアリングという場合もあります。
簡単に説明すると「お客様が商品を決定する基準を聞き出す」「商品などをご紹介し希望とマッチしているか確認する」
この2点を意識し商品を絞り込んでいく作業です。
商品を選ぶ決定打になるポイントを聞く
お客様が商品購入を決定する際には、色、素材、デザイン、目的など様々な条件を考え購入します。
好みや商品を決定する基準などをしっかり聞き出し、店頭の商品でおすすめを選定するために重要なフェーズになります。
決定打になるポイントを聞き出せていれば今後の商品の紹介や提案の際に、お客様がぐっとくるフレーズやポイントを
抑えられるので最優先で意識しましょう。
商品紹介で隠された要望を聞き出す
質問や雑談の中からある程度のニーズを聞き出せたら、次は商品を軽くご紹介します。
これは次のステップで行う「商品提案」とは別となります。
商品提案がお客様に商品を購入いただくためのステップです。
例えるならば、Aという商品の良さやデメリットをお伝えする事が商品提案。
商品紹介はスタッフの考えるニーズが間違ってないかの確認作業ですので、
AとBだとAがお客様の希望に合っていると思うのですが、いかがですか?というお話を行うのが商品紹介です。
この繰り返しを行い、お客様が本当に必要なもの(欲しいもの)は何なのかを絞っていく作業です。
ニーズチェックの上手な聞き出し方
それではニーズチェックを上手に行う方法のお話をします。
まず「商品を選ぶ決定打になるポイントを聞く」ために5W1Hの質問方法で聞き出すとスムーズにお話が出来ます。
そして、「商品紹介で隠された要望を聞き出す」には2,3点の商品をご紹介するとご希望を絞りやすくなりますよ。
それでは詳しくご説明していきます。
質問の基本は5W1H
ニーズチェックの基本は質問です。
何を WHAT
なぜ WHY
いつ WHEN
誰が WHO
どこに WHERE
どんな物なのか、どの様に使用するのか HOW
という質問を意識してください。
どの項目から聞いても大丈夫ですし、場合によってはこの中から1つしか聞かずに終わることもあると思います。
基本的にはこの内容の質問を聞くことでニーズを引き出すという考え方で、後はお客様のお話に寄り添っていただければ大丈夫です。
例えばあるお客様の対応をしていると仮定します。
スカートを探しているという「何を」の部分をヒアリング出来ているとします。
売り場に移動し、ひとまずトレンドのアイテムを紹介し、より深くヒアリングしようと思ったら世間話が始まってしまった。
なんてことがよくあります。
こうなってしまった場合は雑談の中で情報をキャッチする必要があります。
・夏が近づきパンツスタイルだと暑い
という発言があれば、涼しげな素材のスカートが気に入るかもしれません。
・転職したばかり
であれば、職場にも着ていけるオフィスカジュアルなアイテムを探しているのかもしれない。
このようにお話の中で様々なキーワードをキャッチしていれば雑談が終わった後に質問をしなくても、
「○○とおっしゃっていたのでこちらはいかがですか?」とスムーズに提案出来ますよね?
そうするとお客様は楽しくお話しできたうえに、そこからおすすめのアイテムまで紹介してくれたと
喜んで頂けること間違いなしです。
販売の得意なスタッフはこの「さりげない聞き出し」がとても上手な方が多いです。
2,3点の商品で希望を絞り込む
ある程度情報を得ることが出来たら、次はいよいよ商品のご紹介に移ります。
手に取っている商品や気になっている商品があり、悩んでいる場合は
同じようなアイテム、もしくはより要望に近い商品を含め2,3点ほどをご紹介します。
全く商品が定まっていない場合は先ほどの質問の答えを基に2,3点商品を紹介します。
商品をご紹介しながらより詳しい好みや要望をヒアリングしてきます。
まだまだお客様のニーズを絞り込めていないと感じた場合は、質問や雑談を続けます。
逆にご紹介したアイテムがニーズにマッチした反応だった場合はそのまま商品を購入頂ける様に商品提案に入ります。
ウォッチングの情報
ウォッチングで得た情報もニーズチェックの材料です。
特に手に取られた商品や、タグなどを見た商品は関心度がかなり高い商品です。
同じような商品を見られていたならば、どのような違いがあるのか、商品の重要ポイントはどこなのかを考えます。
様々な商品を見ていたとしても例えばプレゼントを探しているお客様だった場合、値段や色など何か共通点があるかもしれません。
その情報を基にお話のきっかけをつくりましょう。
信頼感を勝ち取るペーシングを意識
ペーシングとは、相手のペースに自分のペースを合わせるテクニックの事です。
動きや声の大きさ、話すスピードなどを合わせることで「なぜかわからないけどなんとなく気が合う」と感じさせる効果があります。
ニーズをしっかりと引き出すためには「この人とは気が合うからどんどん話したい」と思わせる必要があります。
手の動きや顔の動きを合わせる
お客様の体の行動の速さを合わせます。
例えばのんびりな感じの方には、頷きや手の動きをゆっくりと動かす、テキパキとされている方にはこちらもテキパキと動く。
そうする事で自然とペースが合い、話しやすい状況をつくりだすことが出来ます。
話すスピードや大きさを合わせる
声の大きさや話すスピードやペースを合わせます。
声が大きめな人には大きく、大人しく小さい声の方にはこちらも小さく話します。
スピーディーに話す人にはこちらもスピーディーに、話しの間が長い人にはこちらも長めにとってゆっくりと話す。
自分と似ている人には話をしやすいですよね?
イメージとしては運動部には運動部っぽく元気に話した方が気が合うし、文化部には文化部っぽく落ち着いて話した方が話しやすい。そんな感じです。
言葉が合うと話しやすいと感じる
言葉はオウム返しをすることで話しやすさと信頼感を感じていただけます。
オウム返しとは言われたフレーズをそのまま繰り返す話し方です。
オウム返しを使用した会話の例
「スカートを探しているんです。」



「スカートをお探しなんですね?」
話をしっかりと聞いている印象がありませんか。
「花柄のものがいいかなーと思っていて・・」



「花柄のスカートですね・・・」
「はい、無地のものばかりだったので、女性らしい柄のものが欲しくて・・・」



「女性らしい花柄ですね・・・でしたらこちらのピッタリのアイテムがございます!」
すごく寄り添って話を聞いている感じがしませんか?
一緒に悩んでピッタリのアイテムを選んでくれそうでもっと質問したくなりませんか?
初心者に多い例
「スカートを探しているんです。」



「いらっしゃいませ!ご案内します!」
「花柄を探しているのですが・・・」



「はい!こちらはいかがでしょうか!
とてもお似合いだと思います!」
「あ、ありがとうございます・・・」



「ご試着されてみませんか!」
気持ちよく元気に案内はしてくださるのですが、ちょっと勢いが強い印象です。
会話で気を付けるポイント
質問や商品紹介のポイントは説明してきましたが、
それを行う会話で重要なポイントがあります。
意識しないと質問に対する返答や商品紹介のリアクションが薄くなり、自分が必要としている情報を聞き出すことが難しくなります。
ポイントは「自分が話すよりもお客様に話していただくこと」「お客様に共感し、話したいと思われる雰囲気を作り出すこと」の2点です。
聞く7割、話す3割を意識
特に初心者の方で多いのですが、色々と聞き出したと考え8割9割スタッフが話している場面があります。
聞く割合を7割、話す割合を3割で会話を進める事でお客様がどんどん話したくなる雰囲気をつくることが出来ます。
冷静に考えればお客様から情報を引き出そうとしているのに、スタッフの方が多くしゃべっているのはおかしい話ですよね?
最初は特に難しいと思います。
最初のうちはお客様にしっかりと返事をしながら、オウム返しと質問を使いながら自ら話して頂ける様に練習をするといいです。
普段の会話
○○という悩みがあって、Aを探しているんですけど・・・



Aでしたら、こういった特徴がありまして、こういった場合におすすめできるんです。
オウム返しと質問でお客様に話していただく練習の例
○○という悩みがあって、Aを探しているんですけど・・・



そうなんですね・・・○○にお悩みなんですね、差し支えなければ具体的にどのような悩みがおありなのですか?
普段の会話だとこのままどんどん商品の特徴やおすすめポイントを話し始めてしまします。
しかし、オウム返しと質問を挟むと話を聞いていると感じやすくなり会話のキャッチボールが多くなります。
そうなるとお客様が話したいことを話す割合が徐々に高くなるので自然とお客様が沢山お話してくださいます。
話したくなる気持ちには共感が重要
お客様に信頼していただくには共感する事が大事です。
- 悩みますよね
- いいですよね
- 心配ですよね
このように寄り添うことでお客様も聞いてほしいという思いがどんどん強くなります。
私が意識しているのは共感を強く出すことです。
例えば夏にTシャツを探しているお客様の対応をしているとします。



「暑くなると半袖大活躍しますよね!私も今月もう3着Tシャツ買っちゃいました。でも、夏って暑くて重ね着しづらいからマンネリしてしまいませんか?」
「ですよねー。黒とかグレーとか無難な色を選びがちで・・時々全身真っ黒とかになっちゃうんですよねー」
Tシャツを探しているお客様に「半袖が大活躍する」という共感ポイントをお話しています。
そこから「マンネリする」という共感できそうな質問を投げかけました。
結果お客様に「色がマンネリしてしまう」と共感していただき、黒やグレーのTシャツは持ってる、黒色のパンツを履くことがあるという情報をキャッチしました。
そこから、他の色にチャレンジしたいのか、同じ黒やグレーでも他のシャツなどの提案も出来そうですよね?



「今期は○○のカラーがトレンドでこちらは入荷当初から人気なんですよ。黒のパンツにも合わせやすいですし、夏でも薄手の生地なのでお持ちの黒色のTシャツと重ね着も楽しめますよ!」
雑談から得た「黒色のパンツを持っている」「黒色のTシャツを持っている」という情報から着こなしやトレンドを交えて提案することが出来ました。
このように共感する事で情報を引き出すことが出来、提案や紹介に繋げることが出来るのです。
ニーズチェックで注意すること
質問ばかりしない
いつ使うんですか?どんなものが好みですか?
など質問ばかりしない事です。
ずっと質問ばかりしてしまうと返答も単調になり、尋問の様になってしまいます。
ちゃんと悩む時間をつくる
聞き出したいからと言ってずっとお客様についてしまうと考えたくても考えられません。
お話をしながら悩まれるようであれば、一度離れて1人で悩む時間をちゃんとつくってあげてください。
ただし、その間もお客様が何を見ているのか、なにと比べているのかを意識して見守ってください。
ニーズチェックでお客様の情報を得るためのポイントのまとめ
今回はニーズチェックについてお話しました。
ポイントをまとめると以下のようになります。
- 質問は5W1Hを意識する
- ペーシングでお客様が話しやすい雰囲気をつくる
- お客様に共感してもっと話したいと思っていただく
- 質問ばかりせず、1人で悩む時間もちゃんとつくる
このポイントをしっかり押さえながら会話をすれば
自然と必要としているニーズを引き出すことが出来ます。
初心者のうちは最初から全部は難しいですし、会話が止まってしまう可能性もあります。
まずは5W1Hでの質問を心掛けながら、徐々にペーシングで情報を引き出せるように練習していきましょう!
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